登記申請概説総論

登記識別情報又は登記済権利証

  • 所有権の場合の登記識別情報または登記済権利証

  • 所有権登記名義人が登記義務者となって登記申請するときは、所有権取得登記の際の登記識別情報または登記済証を添付して、本人の意思が確実であることを明らかにする。
  • 抵当権など所有権以外の場合

  • 所有権以外の権利の登記名義人が登記義務者となって登記申請するとき(たとへば抵当権を抹消するとき、根抵当権を譲渡するときなど)は、その物権取得登記の際の登記識別情報または登記済証を添付して、本人の意思が確実であることを明らかにする。
  • 登記識別情報または登記済権利証を提出できないとき

  • 登記済証が紛失、滅失等により提出できないときおよび登記識別情報を提示できないときは、登記所より登記義務者の住所地に宛て本人限定受け取り郵便で登記意思の確認の通知が発せられる。 これに登記意思に間違いない旨の押印をして返送しなければならない。本人の意思確認を待ってその後に登記申請の受付をする。これが事前通知制度といわれるものである。
    この本人意思確認手続きのため登記申請受付そして完了までに通常より日数がかかる。緊急融資などが絡みすぐ受付してもらう必要があるときは、司法書士に依頼して本人確認情報を作成して申請する方式によることになる。この専門家による本人確認情報の提供は、登記識別情報または登記済証の添付と同様の効果があり、登記申請と同時に直ちに受付される。

申請人の記載方法について

  • 一般に

  • 申請人の記載は、個人であれば住民票又は印鑑証明書に基づき、株式会社などの法人であれば法人登記記録に基づいて記載されているとおり正確に記載する。
    氏名、商号又は名称については略字を用いることなく、また住所ないし本店についても「何丁目○番○号」又は「何丁目○番地の○」などと正確に記載し、「1−2−14」などと略記してはならない。
    以前は縦書きの関係もあり改竄を防ぐため一二三の数字は壱弐参の多角文字を使用するとされていたが、申請書の横書きが採用されたときから算用数字に改められた。

    宮城県気仙沼市何町104番地の7
    小野寺宏寿

法人の場合は代表者(または支配人などの代理人)の資格氏名も記載する。

    • 宮城県気仙沼市何町104番地の7
      株式会社気仙沼フカヒレ水産
      代表取締役 小野寺宏壽

    相続のとき

    相続人より申請するときは次の要領により、また相続人数名共有のときは共有者各自の住所氏名を記載する。
      単独相続の例
      (被相続人)小野寺宏作
      宮城県気仙沼市中みなと町10番地
                 小野寺宏壽
    • 共同相続の例(一般申請者のとき)
    • (被相続人)小野寺宏作
      宮城県気仙沼市中みなと町10番地
      持分 2分の1    小野寺宏壽
      宮城県気仙沼市東みなと町23番地
      持分 2分の1    小野寺乙壽
    • なお、権利取得者のときは持分をも記載しなければならない。
    • (被相続人)小野寺宏作
      宮城県気仙沼市中みなと町10番地
      持分 2分の1    小野寺宏壽
      宮城県気仙沼市東みなと町弐参番地
      持分 2分の1    小野寺乙壽

一般に必要な添付書類

  • 代理申請のとき

  • 代理人による申請のときは、代理権限を証明する書類として委任状などが要求される。
  • 未成年のとき

  • 未成年者が親権者を代理人として申請する場合は、そのものが親権者であることを証明する戸籍謄本などが要求される。
  • 法人のとき

  • 法人が代表者により申請する場合は、そのものが代表権あることを証明する法人の登記簿謄本あるいは役員欄の抄本などが要求される。
  • 相続が絡んだとき

  • 相続人より申請する場合、(たとへば相続による所有権移転登記、相続人よりの保存登記、売主または買主死亡後の相続人よりの又は相続人からの所有権移転登記などの場合)は、登記簿上の名義人又は登記する権利の権利者より相続によって目的たる権利を取得したことを証明する書類を、添付しなければならない。

    相続を証明する書類

      戸籍謄本。住民票。遺産分割協議書、相続放棄証明書、特別受益の証明書など。
      被相続人(死亡者)の戸籍は当人が生まれてまもなくより、死亡に至るまでのすべての戸籍謄本および除籍謄本をそろえなければならない。また相続権あるものの全員の戸籍も必要である。遺産分割協議書や特別受益者証明書などの私証書には各相続人の署名と実印押印をして、印鑑証明書を添付する。
  • 不動産の評価額

      不動産登記において物件の価格を課税価格とされる場合は、各市町村において固定資産税算定の基準として決定している評価額によるものとされる。

      1千円未満の端数は切り捨てる。

      新築建物等、評価がまだ為されていない建物は登記官の判断とされ、毎年登記所より計算の基礎となるu当たりの評価基準表が示されている。これには各種建物の種類や構造ごとにu当たりの評価額が明示されており、これを単価として面積を掛けて課税価格を計算することとなる。

      公衆用道路など評価のない土地や地目が変更して評価が不適当となった場合は近傍の同等の土地の評価を基準として算定すべきこととされ、いろいろ難しいところがあるので、近くの司法書士や登記所に確認した方がよい。

      この価格を明確にするために価格証明書として価格決定通知書(市町村長より法務局宛の通知)を添付するのが例となっている。この書類は市町村の税務課で発行を受けるが、個人の資産というプライバシーに関する記載があるものなので司法書士などの職務上の請求でないと面倒なときがある。

  • 課税価格及び税額の記載方法

      不動産登記における課税価格及び税額の記載方法は、

      数字については123の算用数字を用いて記載する。

      • 123万4000円  などと書く。

      法律の規定により非課税の場合は、『登録免許税法第○○条により非課税』と非課税の根拠を書くと良い。
  • 物件の記載方法

      登記申請書に物件を記載するときは、登記簿に従いその記載の通りに正確に記載しなければならない。登記簿と一致しないと訂正を命ぜられ、これに応じないと申請は却下される。そのためあらかじめ登記記録を調べて確認しておく必要がある。

      記載に用いる数字のうち一二三の数字は壱弐参の多角文字を用いて記載しなければならなかったが、申請書の横書きが採用されたことから123の算用数字に改められた。ただし丁目の番号は固有名詞と考えられ一二三でよい。

        土地の記載例no1

          所在 気仙沼市世田谷区大町一丁目
          地番 2番3
          地目 宅地
          地積 123.80u

         

        土地の記載例no2

          気仙沼市世田谷区大町一丁目2番3
          宅地     123.80u

         

        建物の記載例no1

          所在   気仙沼市世田谷区大町一丁目2番地3
          家屋番号 2番3
          種類   居宅・事務所
          構造   鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺二階建
          床面積  一階 53.28u 二階 47.33u

         

        建物の記載例no2

          気仙沼市世田谷区大町一丁目2番地3
          家屋番号 2番3
          居宅・事務所  鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺二階建
          一階 一階 53.28u 二階 47.33u