• 不動産登記申請の原則

    ◎、共同で申請する

    • 申請しようとしている登記により不利益を受ける者が義務者となり、利益を受ける者が権利者となり、両者の共同申請で行うのが基本である。

      例えば売買による所有権移転登記であれば、現在の所有権登記名義人が売主として名義を失う不利益を受ける立場なので義務者となり、名義を取得する買主たる新所有者が権利者となり共同で申請するし、抵当権設定登記であれば担保を提供する者が義務者となり、抵当権登記を受ける抵当権者が権利者として共同で申請することになる。

    • 登記名義人の住所や氏名が変わったときの登記名義人表示変更登記や、建物を新築した後の所有権保存登記などは相手が居ないので、単独で申請することになる。相続登記も同様である。
    • なお、相手が登記申請に協力してくれないときなどは裁判により判決を貰ってその判決を添付して単独で申請できるとされている。

    ◎、出頭して申請する

    • 作成した申請書は、申請人自らが登記所に出頭して提出するのが原則であったが、郵送することも認められるようになった。 自らと言うが代理人であれば本人に代わって申請できる。ただし登記申請代理を業として行うことは各都道府県単位で設立されている司法書士会に入会している司法書士でなければならない。 登記申請行為は利益相反しないため、両当事者から受任をうけることを禁止した民法の規定の適用が無いので、権利者義務者の双方から委任を受けて申請することが出来る。
    • 登記所では受け取った順序に番号をつけて受付をし、その番号順に処理していくことになる。

    • 不動産登記申請の流れ

      T、登記記録記載内容の確認

      • @、物件の登記内容の確認 登記申請書には対象となる不動産を正確に記載しなければならないが、そのためにも現在の登記上の記載内容を確認して把握しておかなければならない。
      • A、所有権登記名義人、抵当権登記名義人などの当事者の住所氏名の確認 登記申請の多くは所有権登記名義人が申請当事者となるが、抵当権などの権利に関する登記ではそれらの権利の登記名義人が申請当事者となる場合も多い。 その場合、申請書の権利者又は義務者の記載はそれらの登記名義人の表示と一致しなければならない。そのためにも現在の登記上の権利名義人の記載を確認し把握しておかなければならない。
      • B、所有権以外の物件に関する登記の場合は、その登記されている権利内容の確認 所有権以外の権利に関する登記では、その権利を特定するために受付番号が必要になる。そのほかにも現に登記されている登記内容が必要になることがある。そのために現在の登記されている権利の内容を確認し把握しておく必要もある。

      U、必要添付書類の確認と収集

      • 1、登記申請に添付すべき書類には、登記申請の内容に応じていろいろなものが要求される。登記の記載内容を確認した後はこれらの必要な書類をリストして準備することになる。 例えば所有権関係では、評価証明書、印鑑証明書、住民票のほか、売渡や贈与などの事実を証明する登記原因証明情報、登記識別情報又は登記済権利証などがあり、抵当権設定関係では、印鑑証明書、抵当権設定契約書などが必要とされている。 具体的には書式の添付書類の項を参照されたい。
      • 2、それらの書類はどこで手にはいるのか

      V、申請書の作成

      • 現在の登記内容の確認と必要な添付書類の収集が終われば、いよいよ登記申請書の作成である。
      • 1、A4サイズを縦型に使用し横書きとする。申請書用紙が物件が多いためなどの理由により数枚に亘るときは前のページと次のページにかけて間に割印を押して継続用紙であることを明らかにする。 申請書の最後に用紙1枚を継続用紙として付け加えて登録免許税相当額の収入印紙を貼る。印紙に消印をしてはならない。
      • 2、筆記用具は、黒のボールペンを使用し、字画は判読しやすく明瞭に書き、訂正箇所には訂正印を押す。

      X、申請書と添付書類の綴り方

      • 1、申請書を1番表面にし、評価証明書、委任状、住所証明書、印鑑証明書、資格証明書などを続けて綴じ込む。順序は問わないがわかりやすくかつ調査しやすい順序にすると良い。更に承諾書及び関係書類、議事録、相続証明書その他の必要書類があれば追加して綴じ込む。
      • 2、登記が終われば申請人の手元に戻ってくる登記義務者の登記済証や写しを提出した場合の原本等の書類は一緒につづり込まないで、上記と別にして添付する。

      Y、申請書の提出

      • 1、申請書の最終チェックがすんだら後は登記所に出頭して提出します。現在では郵送による申請も認められています。ただし戻ってくる書類を受け取るには出頭するか、または切手を貼った返送用封筒を提出して申請書に郵送による返還を依頼する旨を記載する。
      • 2、登記所では申請書及び添付書類に誤りがないか、調査します。調査して申請書の記載に誤りがあったり添付書類に不完全なところを発見すると申請書記載の訂正又は不足書類の補完を命ぜられることになる。
      • 3、ただちに直せない場合や不足書類の追添に日数がかかるときは、一旦取り下げをして書類を返して貰い、完全な申請書類にしてから再度申請をし直すことになる。

      Z、登記済証の受領

      • 1、申請に問題がなければ数日後、登記済となる。
      • 2、登記が完了すれば申請書に押印した印鑑を持参して、登記完了通知と返還される書類を受け取る。返送用封筒を提出してあれば返送されてくる。登記完了後は登記事項証明書を申請してそれにより、登記された結果に間違いが無いかどうかを確認しておくと良い。